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2019年5月の5件の記事

2019年5月30日 (木)

かみのけ座のM53

M53  5月も終わりに近づくと、春の星座はどんどん西空に傾いていきます。東の空には、夏の星座、さそり座やヘルクレス座、こと座、おまけに今年は木星までが明るく輝きながら昇ってきました。我が家の裏庭は東の空が少しだけ明るいので、まだ確認できませんが、多分天の川が昇ってきているはずです。もう直ぐ、夏の夜空になります。今年の夏は、木星と土星が天の川近くに見えます。とても賑やかな夜空になるのでしょう。

 ところで、写真は、かみのけ座の球状星団M53です。かみのけ座は、夜9時頃にちょうど天頂付近に昇ってきます。とてもいい条件なんですが、ファインダーで位置を確認するのが大変です。寝転んで眺めた方がいいような、まるでアクロバットのような、そんな感じです。かみのけ座は、メロッテ111が目立つ以外、明るい星がないのでなかなか捉えにくい星座です。それでも何とか、手動でM53を導入しました。α星を頼りに、ここまで30分ほどかかりましたが、結構楽しい時間でした。

 この球状星団は、大きさも明るさもイマイチな感じですが、直径が220光年ということを考えれば、実際は巨大な球状星団のようです。中心部の密度が異常に高い星の集まりのようです。明るさが7.7等級といっても、もっと暗い感じです。距離が58000光年というデータですが、この距離から考えると、天の川の周辺部のいちばん外れた領域のようです。次回は、8インチのシュミカセで撮影してみます。梅雨が近いので、今年はチャンスがあるかどうかは分かりませんが……。

 ひと言、書き忘れていました。この日の撮影中に、ヌエの初鳴きでした。ウグイスの初鳴きなんて可愛いものじゃあなくて、とても恐ろしい叫び泣きです。死にかけた老婆が叫び泣く声だそうで、近くで聞くと大人でも怖くなって、ぞーっと身震いするような気持ち悪さです。おまけに、周りが真っ暗なんですよね……。という訳で、ちょっとコーヒーブレイクです。

データ/ビクセンGP2・ビクセン70SS・笠井マルチフラットナー・EOSM3・90秒・2019年5月23日21時40分頃

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2019年5月24日 (金)

おおぐま座のM101

M101  今まで何回も挑戦して、なかなかうまく撮影できなかった星雲です。今回はガイド撮影をしました。ガイド鏡を使うと、電源が余分に2つ必要になるので、あまり使わなかったのですが、まあ、仕方なくという感じです。おおぐま座も、子午線を超えて西に傾き始めた5月の下旬です。北斗七星がちょうど北極星の真上に来るので、いちばん眺めやすくなりました。

 この渦巻銀河M101は、回転花火銀河と呼ばれているようです。まあ、確かに回転している花火から炎の腕が何本も出ている感じもします。見かけの大きさは、満月を少し小さくした感じですが、2700万光年という距離を考えると、とても巨大な銀河のようです。銀河の円盤を真上から眺めているようで、とてもいい感じです。それにしても、この銀河はとても暗いんですね。大きな明るい双眼鏡でも、観るのにとても苦労する、という話を聞いたことがあります。感度を1600にして、2,3分露出してもかすかな光が確認できるだけでした。この写真は、感度を3200にしています。20コマ合成して、やっと渦巻銀河らしくなりました。

 このところ、薩摩半島も晴天が続いていて、クリヤーな星空です。湿度も5月にしてはとても低いようで、星々が明るく見えます。今、夜の19時半過ぎですが、まだまだ明るい薩摩の宵空です。21時ごろから、南の空のケンタウルス座のオメガ星団を撮影しようと思っているのですが……。玄関先から見えるので、小さなシュミカセを外に出して、外気になじませているところです。低い山の稜線から、月が昇るように、球状星団が昇ってきます。すごい迫力です。まあ、その前に、アイスコーヒーを一杯、いただきます。

データ/ビクセンSX2・セレストロン8インチシュミカセ・専用レデューサー・EOSM3・ISO3200・150秒・20コマ合成・2019年5月22日21時50分頃

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2019年5月17日 (金)

マルカリアン・チェーンとM87

Photo_9  何年も前から、一度は眺めてみたかった銀河団です。小さな双眼鏡では無理なので、アイピースを使って30倍、40倍にして覗いて見ましたが、小さなシミぐらいにしか見えませんでした。そういう訳で、撮影したんですが、画像にしてみても、やはり小さいんですね。

 かみのけ座からおとめ座にかけて、たくさんの銀河が集まっているところがあります。それらの銀河を、かみのけ座・おとめ座銀河団と呼んでいます。その銀河団の中央あたりに、ちょうど鎖で繋がっているような銀河の集団があります。この繋がりがマルカリアンの鎖(チェーン)と呼ばれていて、とても美しい眺めです。一つひとつの銀河はとても巨大なんでしょうけれど、何千万光年という宇宙の遥かかなたの銀河なので、これぐらい小さいんでしょうか。弱い光が定着していないので、写真としては、イマイチの感じがします……。マルカリアンというのは、旧ソ連の天文学者のマルカリアンという人の名前からきています。彼は、この小さな銀団の固有運動を研究した人のようです。これだけきれいに弧を描く様子から、それぞれの銀河がお互いに影響を及ぼしあっているのでは、という感じもします。

 ところで、かみのけ座・おとめ座銀河団というのは、小さな望遠鏡では、2,30個ほどしか銀河を確認できませんが、実際は2000個以上の銀河の集まりのようです。アンドロメダ銀河や天の川銀河もこの銀河団の一員です。それぞれが巨大な星の集まりならば、互いに力をおよぼしあっていることでしょう。

 春の星空の中で、このかみのけ座・おとめ座周辺は、天の川から外れているので、恒星がいちばん少ない領域です。だから、遥かかなたの銀河の姿も見えるのでしょう。写真の左下隅に見えるのが、このところ一躍有名になった6000万光年彼方の楕円銀河M87です。地球上の8つの天文台が協力して、ブラックホールの影の部分の撮影に初めて成功したという巨大銀河です。M87を特に意識しなかったのですが、偶然に隅っこに入っていたので、とてもGOOでした。まあ、このM87は以前から、非常に強い電波源としてマークされていたようです。強力電波源というのは、ブラックホールが存在する証拠なんですね。ブラックホール自体は真っ暗なので、周りにある光のドーナツしか見えません。ただ不思議なのは、どの方向から見ても、同じようなドーナツの形に見えるということです。例えれば、ブラックホールというのは、あらゆる方向に入口がある井戸、そんなイメージかも、です。そんなことは、3次元空間では絶対起こりえないことですねえ……。

 宇宙は、とても不思議です。その宇宙に住んでいる人間も、とても不思議な存在なんでしょうか……。という訳で、(仕事中なので)コーヒーブレイクです。

データ/ビクセンSX2・ビクセン70SS・笠井マルチフラットナー・EOSKissX8i・ISO1600・180秒・2019年5月3日21時頃

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2019年5月10日 (金)

しし座

Blog_17  夜の9時、10時頃に、春の星座が子午線上あたりに昇ってくるので、ちょうどいい感じで眺めることができます。それでもまだ、冬の星座のふたご座やこいぬ座も眺めることができます。有難いことに、ぎょしゃ座のカペラも北西の空で元気です。何故有難いかというと、とても明るいカペラの輝きで、撮影時のピント合わせをしているので、とても助かっているからです。春の星々は結構暗いんですね。といっても、東から冬の星座が木星を従えて昇ってきます。暦の上では、もう夏なんでしょうか。

 写真は、南中するしし座です。南の暗い空に昇ってくると、しし座をつくる4等級の星まで、何とか確認することができます。我が家の裏庭から眺めると、南東から南西、南西から北までは、漆黒の闇空なので、星々の輝きはとても明るく見えて、視力がよくなったのでは、と錯覚するほどです。まあ、そんな中での撮影でした。

 星座線で結ぶと、うまいことライオンに見えます。頭が大きくて、ライオンらしい迫力があります。α星レグルスは小さな王という意味で、β星は動物の尻尾を意味するそうです。ライオンはアフリカに生息するのだと思っていましたが、南ヨーロッパにも生息していたようです。実際見ることがあったので、ギリシャ神話にも登場したようです。星座線は自由なので、星図や星座本によって、星座の形は結構違うものなんですね。僕がよく使っている英語版の「 Pocket Sky Atlas 」では、全く違ったライオンになっていました。やはり、写真のような星座線がいちばんだと思います。ししの頭の部分は、ししの大がまと呼ばれています。古代からそんな感じで、人々は眺めていたんでしょうか。後ろ足の部分も、前足とのバランスが悪いんですが、いい感じです。星々を結んで、うまくライオンの姿にしたものだと、いつも感心しています。

 ところで、しし座の周辺には、明るい星がとても少ないんですね。目立つ星といえば、うしかい座の1等星アルクトゥールスとおとめ座の1等星スピカ、それと北空の北斗七星ぐらいです。そんな訳で、先週UPしたかみのけ座の散開星団メロッテ111もよく見えるのかも知れません。賑やかな冬と夏の星空に挟まれていますが、春の星座もそれなりに趣があっていいのかも、です。

 まあ、そういう訳で、今夜は霧雨を眺めながら、YEBISUビールを飲みながら、仕事をします、です。

データ/ケンコースカイメモS・EOSKissX8i・トキナー11~20ミリF2.8・ISO800・F3.5・35秒・ソフトフィルター使用・2019年4月3日22時半頃

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2019年5月 4日 (土)

かみのけ座のメロッテ111

111  春の星空は、少しだけ寂しい感じがします。1等星は二つだけで、天の川からも離れているので、5月に入っても、西空に沈みかけた冬の星々の方が明るくて目立つんですね。春は星々が少ない分だけ、暗い星も結構よく見えるのかも知れません。しし座のβ星デネボラと、おとめ座の1等星スピカ、そして春の夜空で一番明るいうしかい座の1等星アルクトゥールス、この3つの星と北斗七星で囲まれた領域が一番暗いと言われています。確かに、その領域は、3等級より暗い星ばかりのようです。という訳で、遠くの銀河がよく見えるということらしいです。おとめ座銀河団やかみのけ座銀河団など、2000個とか3000個とか言われているはるかに遠い銀河が見えるようです。昨夜、そのおとめ座かみのけ座銀河団を撮影しました。口径が小さいので、2,30個ほど確認できただけですが、遠くがよく見える領域なんですね。

 まあ、それはそれとして、写真は、かみのけ座の散開星団メロッテ111というとても美しい星の集団です。20個ほどは、確かに確認できます。本当はもっとたくさんの星の集団のようです。髪飾りに宝石を散りばめた感じでしょうか。とてもいい感じです。7,8倍の双眼鏡で眺めると、星が視野いっぱいに広がって見えます。ブルーがとても鮮やかに目立ちます。このメロッテ111は、肉眼でも見えます。ぼんやりとそのあたりを眺めていると、視野の中心から少し離れたところに、ぼんやりと雲のような明かりを見つけることができます。よく晴れて、透明度の高い夜空では、メロッテ111全体で、3等星より少し明るい感じでしょうか……。一つひとつの星が明るいのは、地球からの距離が280光年ほどで、とても近いからだそうです。天の川銀河の中で考えると、すぐ近所で、例えばですが、同じ町内会の仲間、と言えるかも知れません。こんな感じに見える散開星団は、とても少ないんですね。

ところで、先週ぐらいから、夜10時過ぎに、南東の低い空に明るい星が昇ってきていました。瞬きをしていないので、多分木星では、と思います。今年の夏は、木星と土星がお揃いしますので、天の川を入れて賑やかな夏になりそうです。

データ/ビクセンGP2・ED70SS・笠井マルチフラットナー・EOSKissX8i・ISO800・60秒・2019年4月27日21時30分頃

 

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