マルカリアン・チェーンとM87
何年も前から、一度は眺めてみたかった銀河団です。小さな双眼鏡では無理なので、アイピースを使って30倍、40倍にして覗いて見ましたが、小さなシミぐらいにしか見えませんでした。そういう訳で、撮影したんですが、画像にしてみても、やはり小さいんですね。
かみのけ座からおとめ座にかけて、たくさんの銀河が集まっているところがあります。それらの銀河を、かみのけ座・おとめ座銀河団と呼んでいます。その銀河団の中央あたりに、ちょうど鎖で繋がっているような銀河の集団があります。この繋がりがマルカリアンの鎖(チェーン)と呼ばれていて、とても美しい眺めです。一つひとつの銀河はとても巨大なんでしょうけれど、何千万光年という宇宙の遥かかなたの銀河なので、これぐらい小さいんでしょうか。弱い光が定着していないので、写真としては、イマイチの感じがします……。マルカリアンというのは、旧ソ連の天文学者のマルカリアンという人の名前からきています。彼は、この小さな銀団の固有運動を研究した人のようです。これだけきれいに弧を描く様子から、それぞれの銀河がお互いに影響を及ぼしあっているのでは、という感じもします。
ところで、かみのけ座・おとめ座銀河団というのは、小さな望遠鏡では、2,30個ほどしか銀河を確認できませんが、実際は2000個以上の銀河の集まりのようです。アンドロメダ銀河や天の川銀河もこの銀河団の一員です。それぞれが巨大な星の集まりならば、互いに力をおよぼしあっていることでしょう。
春の星空の中で、このかみのけ座・おとめ座周辺は、天の川から外れているので、恒星がいちばん少ない領域です。だから、遥かかなたの銀河の姿も見えるのでしょう。写真の左下隅に見えるのが、このところ一躍有名になった6000万光年彼方の楕円銀河M87です。地球上の8つの天文台が協力して、ブラックホールの影の部分の撮影に初めて成功したという巨大銀河です。M87を特に意識しなかったのですが、偶然に隅っこに入っていたので、とてもGOOでした。まあ、このM87は以前から、非常に強い電波源としてマークされていたようです。強力電波源というのは、ブラックホールが存在する証拠なんですね。ブラックホール自体は真っ暗なので、周りにある光のドーナツしか見えません。ただ不思議なのは、どの方向から見ても、同じようなドーナツの形に見えるということです。例えれば、ブラックホールというのは、あらゆる方向に入口がある井戸、そんなイメージかも、です。そんなことは、3次元空間では絶対起こりえないことですねえ……。
宇宙は、とても不思議です。その宇宙に住んでいる人間も、とても不思議な存在なんでしょうか……。という訳で、(仕事中なので)コーヒーブレイクです。
データ/ビクセンSX2・ビクセン70SS・笠井マルチフラットナー・EOSKissX8i・ISO1600・180秒・2019年5月3日21時頃
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