わし座の暗黒星雲 B142・B143
8月も、もうすぐ終わりです。天の川が夜9時頃になると、天頂付近を通ります。さそり座は、もう西の空に傾きかけています。夏も、終わりなんですね。何か寂しいような気もしますが、まあ、季節の移り変わりですから、それはそれでいいんですが……。それにしても、このところまともに星空を眺めていない感じです。曇り、雨、曇りのち少し晴れ、また雨、曇り、少しだけ晴れ、そしてまた雨、曇り、なんていう毎日でした。今の季節に秋雨前線とは……。季節が変な感じです。
写真は、わし座のアルタイル近くの暗黒星雲です。この付近は天の川が流れているので、星がとても多いんですが、その星の海の中にぽっかりと複雑に穴が開いている感じに見えます。しかし、これは穴ではないんですね。この部分だけ星が見えないのは、天の川の手前に、濃厚な星間ガスやチリが密集していて、星を隠しているだけです。実際は星雲なんですが、光を発していないということです。だから、暗黒星雲と呼ばれています。天の川銀河の周辺部には、たくさんあるようです。この暗黒星雲のガスやチリがやがて凝縮して、高温状態になって星が次々と生まれてきます。
上部のCの文字に似た部分がB142で、その下がB143と呼ばれています。このBカタログというのは、アメリカの天文学者バーナードが編集した暗黒星雲だけのカタログです。350個の暗黒星雲が登録されています。1890年代の頃からですから、その頃の機材でよくここまで観測したということが、とても驚きです。観測者の執念というのでしょうか……。オリオン座にある散光星雲バーナードループは、彼の発見です。
天の川の星の海は、双眼鏡で眺めても、とても興味深い場所です。この暗黒星雲も6倍程度の双眼鏡で確認できますが、透明度のよい夜空でないとなかなか見えてきません。まあ、そんな感じで、また暗黒星雲を探してみます。という訳で、コーヒータイムです。
データ/ビクセンGP2・ビクセンED70SS・笠井マルチフラットナー・EOSM3・ISO3200・70秒・2019年7月26日21時40分頃