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2020年3月の4件の記事

2020年3月27日 (金)

万世の西空に傾く冬の星々

Blog_20200327201001  南さつま市には、万世(ばんせい)という町があります。太平洋戦争末期の1944年の年末、陸軍最後の特攻基地が建設されました。しかし、たった4ヶ月しか使われなかったため、幻の特攻基地と言われています。それでも、この基地から、17歳の特攻隊員を含め200名近い若者が出撃していきました。それを祈念するために、1972年に万世特攻平和祈念館が出来ました。この祈念館には、特攻隊員の遺書や遺品などが数多く展示されているのですが、戦争を知らない世代にとっては、想像も出来ない時代を垣間見るのがやっとです。こちらに引っ越してきてから、数回行ったことがありました。その陸軍の特攻基地周辺は、現在県立吹上浜海浜公園になっていて、週末には家族連れで賑わています。森の向こうは、遥かな東シナ海が広がっています。

 この万世特攻祈念館に、つい最近行ってきました。敷地内での、夜の撮影許可をもらうためでした。その時に、祈念館の展示室も見学しました。久し振りの見学でした。この周辺は緑が多く、敷地内には特攻隊員の銅像レリーフもありました。それから2,3日して、夜に星降る風景を撮るために行きました。本当は建物や特攻隊員のレリーフを入れて、ワイドな星空を撮影する予定でしたが、信号の明かりや水銀灯の光が邪魔して、うまくいきませんでした。結局は、星々がはっきり見えるのは、写真のようなフレミングだけでした。西空にオリオン座や冬の大三角が沈んでいくところでした。この方向と言えば、ほとんど南南西の方向です。ちょうどこの方角は、南西諸島や沖縄方向です。75年前の3月、出撃した特攻機が目指した方向だったんですね。ふーっとそんなことを考えながら、星を眺めながら……の撮影でした。

 という訳で、久し振りの現場ロケだったのですが、いろいろと刺激させられます。まあ、今夜はここで小休止します。

データ/トキナー11~20ミリF2.8・EOSKissX8i・ISO1600・f4・15秒・ソフトフィルター使用・2020年3月24日20時20分

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2020年3月19日 (木)

ふたご座のクラゲ星雲

B-ic443blog  今日3月19日(木)は、私的な記念日です。大したことはないのですが、Blogを始めた日です。5年前の今日3月19日ですが、曜日も同じ木曜日なんですね。これも偶然というか、何かの縁なんでしょうか……。あっという間でしたが、UPするのも結構大変だったし、その為の準備も苦労しました。天気の状態も予想がつかなくて、日が暮れて、夜空ばかり眺める日々でした。撮影後の画像処理は、いまだに未熟です。遊び心が強いので、なかなか上手くいかないんですね。神戸からこの薩摩半島の田舎に引っ越してきて、星の写真展を3回開催したのが、収穫と言えば収穫です。神戸時代のモノクロリアリズムから見れば、横道を進んでいるような気もしますが……。まあ、その内に、元の道に戻るつもりですが……。

 写真は、ふたご座のクラゲ星雲です。この星雲は初めての撮影です。IC443というカタログ番号がついています。兄のカストルの足元にある散光星雲です。右隣りで輝いている星は、ふたご座の3等星η(イーター)星です。赤い輝きが少し弱いですが、何とか赤いクラゲに見える気もします。このクラゲ星雲は、超新星爆発によってできた星雲だそうですが、詳しいことはよく分かりません。散光星雲は肉眼では見えないので、探すのにとても苦労します。自動導入が付いていない赤道儀なので、星図を見ながら、星から星を辿って探すのに時間がかかります。次回は、もう少しゆっくり時間をかけて、撮影してみます。

 という訳で、Blog開設から5年目の節目の今日、気持ち新たに星見を楽しみたいという想いで、YEBISUビールで乾杯しまーす、です。

データ/ビクセンGP2・ビクセンED80sf・専用レデューサー・EOSKissX8i・ISO1600・90秒・2020年1月21日21時50分

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2020年3月13日 (金)

冬の星空その3

Blog_20200313200001  このところの新型コロナウィルスの感染拡大で、世界的に不安が広がっているようです。この薩摩半島の田舎の中の田舎の我が生活圏も例外ではありません。車の数も急に少なくなったような感じがします。街中を歩く人も、とても少なくなった(元々少ないのですが……)印象です。おまけに、とても少ない人のほとんどが、マスクをしています。こんな田舎でも、ほとんどのイベントが中止です。最大のイベントである「砂の祭典」も当然のように中止になりました。まあ、仕方ないんでしょうけれど……。そんな中、いちばん賑やかなのは、海岸近くにある県立の海浜公園です。子供連れの家族がサイクリングしている姿です。このところ、非常に多い感じです。キャンプ場もとても多いと聞きました。密集した街中と比べれば、最高度に安全な場所なんでしょうか……。ウイルスの感染拡大が、何とか早く収束して欲しいものです。

 写真は冬の星空のメイン領域です。いちばん賑やかな星座の集まりです。オリオン座だけ星座線を引いていません。そのオリオンの1等星ペテルギウスの暗いこと。2等星の三ツ星とほとんど明るさが同じです。2,3日前に眺めた時は、さらに暗くなっているようでした。右下の1等星リゲルと明るさを争っていたのですが……。さらにもう少し暗くなったとしたら、何か異変が起こっているのかも、です。超新星爆発を起こしているとしたら、昼間でも見えるほどの明るさだそうですが、それを肉眼で見る最初で最後の眺めになるのかも知れません。

 写真には、おおいぬ座、いっかくじゅう座、うさぎ座が見えています。さらに低高度のはと座の一部も確認できます。はと座の南には、全天2番目の明るさのカノープスも、見晴らしのよい所では見えるでしょう。我が家は北緯31度なので、南十字座のγ(ガンマー)星まで、見ることが出来るはずですが、まだ眺めたことはありません。星々の中で、おおいぬ座のシリウスの明るさは特別です。星座の形もはっきり確認できます。うさぎ座も耳が二つあって、それらしく見えます。それらの星座に比べると、いっかくじゅう座の暗いこと……肉眼で見える星がほとんどありません。ペテルギウスに近いところが一角獣の頭ですが、その頭の中に有名なバラ星雲があります。とても美しい散光星雲です。またの機会にUPするつもりです。

 という訳で、YEBISUビールで小休止します。

データ/ケンコースカイメモS・トキナー11~20ミリ・EOSM5・ISO1600・f3.5・25秒・ソフトフィルター使用・2020年2月27日20時13分

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2020年3月 5日 (木)

バーナードループ

Blog_20200305191301  オリオン座を包み込むように広がっている巨大な散光星雲を、バーナードループと呼んでいます。見かけの大きさは、15度以上もあるような気がします。同じ領域にあるオリオン大星雲がとても小さく見えます。バーナードループは、200万年ほど前に起きた、複数の超新星爆発の残骸だと言われていますが、詳しいことはまだ分かっていないようです。オリオン座のα星ペテルギウスの隣にも、エンジェルフィッシュと呼ばれているとても大きな散光星雲が見えます。確かに、右を向いたのフィッシュです。さらに写真左隅には、有名なバラ星雲も確認できます。ただ残念なのは、これらの赤い輝きの散光星雲は、肉眼ではほとんど見えないことです。

 この夜の撮影は、大変でした。改造ボディに、Quad BPフィルターを使って撮影したのですが、とても広角レンズ過ぎたようで、画面周辺部に赤カブリが発生しています。このQuad BPフィルターというのは、望遠レンズ専用のようです。まだまだ勉強不足でした。

 ところで、オリオン座のペテルギウスですが、このところ明るさがどんどん落ちている様子です。この写真は半月ほど前のものですが、3月に入ってさらに暗くなっているようです。ほとんど2等級の明るさかな、という印象です。星の最期を迎えているのでは、というもっぱらの噂ですが、もしかして本当のことかも知れません。仮にそうなったとすれば、巨大な爆発が起こって、満月2個分ほどの明るさになるのでは、なんて推測されています。その時には、昼間でも明るく輝くようです。でもオリオン座の形が変わってしまうので、何となく寂しくなるかも知れません。そんな理由で、星が見えた時には、ペテルギウスを時々観察することにしています。

 今夜は快晴の夜空で、明るい月が天頂に昇っています。月が明るすぎて、星々があまり見えません。薩摩半島も、今夜は冬らしく少々肌寒い夜です。という訳で、とてもとても薄いインスタントコーヒーを飲み終わったら、暗黒の裏庭に出て月を眺めてみます。

データ/ケンコースカイメモS・シグマ30ミリF1.4・EOS60D(改造)・ISO1600・f2.8・80秒・Quad BPフィルター・2020年2月23日20時50分

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