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2021年7月の5件の記事

2021年7月29日 (木)

ヘルクレス座

 Blog_20210729144001 梅雨明けの夏の星空での、最初の星座写真です。梅雨が長かったので、本当に久しぶりの撮影・観察になりました。夏の最初の星座は、もうすっかり天頂付近に昇っているヘルクレス座でした。夏の大三角形も、結構高く昇っていて、もうすっかり真夏です。薩摩半島では、4月の下旬から春ゼミが鳴いていましたが、今は本番の夏のシャーシャーゼミです。季節の移り変わりを、五感で感じる今日この頃です。

 写真が、ヘルクレス座の全景です。明るい星が少ないので、星座としての迫力はイマイチかも、です。南を向いて眺めると、ヘルクレス座は逆立ちした状態で昇ってきます。ヘルクレス座の南には、へびつかい座が昇っていますが、ヘルクレスとへびつかいはちょうど頭を突き合せた状態で昇っています。星座絵図で見ると、上手いことそれぞれが素晴らしい人物絵図になっています。写真には、すぐ東側のこと座も写っています。ヘルクレス座は、トレミーの48星座のひとつで、とても有名な星座です。ギリシャ神話に出てくる古代ギリシャ・地中海では、一番の勇者です。もう一人の勇者ペルセウスという人物もまた有名ですが、このペルセウスはギリシャを中心として活躍したようです。ヘルクレスは、大神ゼウスとミケーネ王妃アルクメネーの間の息子ですが、母親のアルクメネーは、勇者ペルセウスとアンドロメダ姫の孫にあたるそうです。人物のつながりがとても面白く、さすがギリシャ神話です。

 ところで、このヘルクレス座には、全天で一番美しいと言われている球状星団M13があります。暗闇を背景にして浮かんでいる球状星団の輝きが、とてもいい感じかな、と思います。次はこのM13を撮影する予定です。満月を過ぎて、やっと夏の深い星空がやって来ました。天の川も、そろそろ天頂近くで輝き始めたようです。この2週間ほどが、月明かりもなく、星見には最適です。ただし、天気のことは予想がつきませんが……。

 という訳で、まだまだ夕方前ですが、今夜の撮影のために少しだけ準備をしておきます。

データ/ケンコースカイメモS・トキナー11~20F2.8・EOSKissX8i・f4・30秒・ソフトフィルター使用・2021年7月12日21時30分

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2021年7月22日 (木)

さそり座のアンタレス周辺

Blog_20210722193501  夏の星座が、天頂近くに明るく見えるはずなんですが、天気の具合で、なかなか上手くいきません。夏の大三角も、曇り時々晴れ……なんていう日には見えたりするのですが、それ以上は望めない空です。梅雨が明けても、夏らしい青空も、さわやかな夏風も吹きません。何となく、梅雨の続きのような空模様です。写真は、梅雨明け翌日の夜に撮影したさそり座のα星アンタレス周辺です。この日の夜も5時間ほど晴れただけで、やがて曇ってしまいました。月の姿は雲に隠れて、満ち欠けもなかなか眺めることが出来ません。薩摩半島では、台風の影響で雲ばかりで、さっきも一雨降りました。北の大地北海道で猛暑日とは、驚きです。今年は、日本列島が南へ5度以上移動したような感じかも、です。

 ところで、アンタレスは6月頃から雲の隙間の南東の空に見えていたのですが、今では夜9時ごろには、もうすっかり子午線を越えて西の空に傾きかけています。季節の移り変わりが、とても早い感じがします。赤色超巨星アンタレスは相変わらず、赤い輝きで、とても目立つ星です。もう少し赤く輝く星間ガスが写っていればいいのですが、なかなか上手くいきません。この周辺を撮影するときは、いつもボーグの55FLなんですが、露出時間が不足しているのでしょうか、画像がイマイチという感想です。それなりのフィルターを使った方が、いいような気もします。

 アンタレスのすぐ右側(西)に球状星団M4が見えます。このM4は5等級ほどの明るさですが、肉眼で確認するのは少々無理な感じです。アンタレスのすぐそばにも、もう一つ球状星団らしき光も見えています。写真左上あたりには、暗黒星雲らしき黒い領域も広がっています。この周辺は天の川銀河の中心部に近いこともあって、星雲や星団が数多くあるところで、双眼鏡で眺めるととても楽しめる領域です。

 本当は、今夜あたり満月に近い月が明るく輝き、南の空に昇っているはずなんですが、やや分厚い雲に隠れて、わずかな明かりが確認できるだけです。もやーっとした、まるで大きな球状星団のような輝きです、不思議ですが……。明かりのない暗い夜空は、ちょっぴり寂しい気もします。夏は、やはり、澄み切った青空と満天の星々が必要ですね。まあ、もう少しのんびり待つことにします、です。という訳で、裏庭散歩してきます。

データ/ビクセンGP2・ボーグ55FL・EOS60D(改造)・ISO1600・30秒・2021年7月12日20時50分 

 

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2021年7月15日 (木)

おとめ座銀河団 マルカリアンチェーン

 Blog_20210715193101 今日の午後、薩摩半島は大荒れの天気でした。まだ7月ですが、今年最強の雷雨でした。警報級の雷雲が、北薩摩の方から南へ南下してきて、東シナ海に抜けました。雷もすごい時は、バリバリ……バリバリと本当にすさまじい迫力です。夜になって、また次の雷雲らしきものが東方面から近づいています。夜にもう一度、雷雨かも、です。梅雨が明けたと言っても、当分はこんな天気が続くのかも知れません。

 ところで、写真は、おとめ座銀河団の中央付近のマルカリアンチェーン(マルカリアンの鎖)と呼ばれているところです。15個ほどの系外銀河が弧を描いているような感じで、この眺めも宇宙の不思議さでしょうか……。その内いくつかは局部銀河群をつくっているそうですが、そのほかの銀河は偶然同じ方向に見えているだけだそうです。銀河までの距離は、近くて6500万光年程だそうで、どう考えても遥か彼方ですね。その鎖の中に、Mナンバーの銀河が二つあります。M84とM86です。この二つの銀河は特別に大きかったようで、小さな望遠鏡でも確認できたのでしょう。もう一つメシエ天体のM87という楕円銀河が、画面左下に見えます。この銀河は、ウルトラマンの故郷の銀河だと言われています。でもこの銀河を一躍有名にしたのは、2019年にブラックホールの存在を確証した写真です。銀河の中心部にブラックホールが存在することを、歴史上初めて撮影して確かめたことです。そのブラックホールも超大質量のブラックホールだそうで、これまた、大変な驚きでした。という訳で、マルカリアンチェーンを撮影するときは、この楕円銀河M87も入るようにしています。この構図がいちばんGOOな感じでは、と思います。

 いつの間にか、春の星々も子午線を越えて西空に移動していきました。もうすっかり夏の星空ですが、夏の星座も曇り空の日が多くて、眺めることもまだまだ出来ていません。夏の天の川をのんびり眺めるのも、もう少し先になるかも、です。梅雨が終われば、あっという間に夏が来たような記憶ですが、今年は特別な梅雨だったのでしょうか……ねえ。

 という訳で、今夜は冷たいYEBISUで、乾杯します、でーす。

データ/ビクセンSX2・ビクセンED70SS・EOSKissX8i・ISO1600・90秒・25コマ合成・2021年6月1日21時30分

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2021年7月 8日 (木)

ケンタウルス座のオメガ星団

Blog_20210708191601  今日の午後遅く、久し振りの雨でした。今週は、九州南部の梅雨明けを予想していたのですが、何故かハズレました。平年の梅雨明けが7月中旬なので、来週あたりかな、という思いです。もう2カ月近く梅雨が続いているので、ジメジメの毎日にお手上げです。見渡す限りの青空と夏の萌える緑を、心待ちしている毎日です。こちらに引っ越してきてから、ジメジメ感が強くなったような気もします。やはり、薩摩半島は亜熱帯気候かな……かも……。

 写真が、ケンタウルス座のオメガ星団です。全天で最大級の球状星団で、肉眼でもはっきり見えます。おとめ座のスピカを南にたどればいいので、位置は分かり易いはずです。これを撮影したのが、6月7日です。それから今日まで、まともな星空を観ていません。ということは、この1カ月は、星空の撮影を一度もしていないことになります。こういう梅雨もとても珍しいかも、です。

 まあ、それはそれとして、この球状星団は、去年撮影できなかったので、今年6月のは最優先対象でした。地平線からの高度が12度ほどしかないので、撮影時刻が限られてしまいます。曇り空の隙間を狙って、我が家の玄関先からの撮影でした。低い山の稜線から出てくるオメガ星団を狙って、デジカメの液晶のモニターに入れるのが結構難しいんですね。球状星団自体は肉眼で見えるのですが、等倍ファインダーで位置合わせをするのが、少々時間がかかります。その後試し撮りして、本番なのですが、梅雨時なので、双眼鏡で雲の動きをチェックしながら……結構大変な作業でした。実際の撮影時間は、40分ほどでしょうか……。ドタバタでしたが、まあ何とか撮影できました。

 この球状星団は、肉眼ではっきり見えるので、リアリティーは最高です。800万個とか、または1000万個とか言われていますが、このオメガ星団は恒星の数が異常に多いのが特徴です。地球からの距離が17000光年ということを考えれば、天の川銀河の中でもはるかに遠い星々なのでしょうか。球状星団の中心部がどうなっているのか、まだまだ分かっていないようです。中心部にブラックホールがあるという説もあり、とても不思議な存在です。密集した中心部の恒星にも、惑星が存在するのでしょうか……。球状星団は、とても興味深い存在ですね。

 という訳で、小休止して、裏庭散歩です。

データ/ビクセンGP2・ビクセンED80sf・専用レデューサー使用・EOSKissX8i・ISO3200・25秒・20コマ合成・2021年6月7日20時50分

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2021年7月 1日 (木)

うしかい座とかんむり座

Blog_20210701193101  うしかい座とその隣のかんむり座は、7月上旬の今頃、天頂付近に昇ります。うしかい座は春の星座で、かんむり座は夏の星座になっています。共に、トレミーの48星座に入っています。この周辺部で目立つのは、何と言っても、うしかい座のα星アルクトゥールスです。春の星空では一番明るく、夏の星々が昇ってきている今の頃でも、さそり座のアンタレスやこと座のベガよりも明るい恒星です。全天で4番目か5番目に明るい恒星だと思いますが……。このアルクトゥールスは毎年お世話になっている星なのですが、今年はほとんど眺めることがありませんでした。いつもなら星空観望や撮影のための、ピント合わせに使わせてもらっている大切な星です。でも今年は、早々と梅雨入りしたため、ピント合わせをする機会もほとんどナシでした。そのうしかい座も夜10時ごろには、子午線を越えて西の空に傾き始めます。

 写真が、うしかい座の全景です。星座線も書いていますが、暗い星が多いので、ここまで星座の形ははっきりと確認できません。北斗七星の柄の並びから、アルクトゥールスを通り、おとめ座のスピカまで伸びる曲線を、春の大曲線と呼びます。その大曲線を支えているのが、このうしかい座のアルクトゥールスでしょうか……。ギリシャ神話によれば、アルクトゥールスという言葉には、クマの番人という意味もあるそうです。そう言えば、西側に連れている猟犬で、北の空の大熊(おおぐま座)を監視している感じもします。長い時代の中で、上手くつくられた物語なのでしょう。なるほど……なるほどと感心しています。

 このうしかい座の東隣にある小さな星座が、かんむり座です。かんむり座もトレミーの48星座のひとつです。このかんむり座から東側が、夏の星座ということになっています。かんむり座の隣にはヘルクレス座、その東隣がこと座です。7月の上旬の9時ごろには、夏の星座すべてが昇ってきています。夏の星空には、いて座の南隣りに、みなみのかんむり座という星座もあります。間違いやすいので、かんむり座を北のかんむり座と呼ぶときもあるようです。かんむり座は、2等星がひとつだけ目立つのですが、くっきり晴れた夜には、かんむりの形に3,4個の星が、きれいに円弧を描いているように見えます。日本では、かんむり座のことを太鼓星と呼んでいたそうです。このかんむり座も、ギリシャ神話にその由来があるのでしょうが、詳しいことはまた調べておきます。

 うしかい座もかんむり座も、のんびり眺めるには、どう考えても寝転んでみるしかありません。夏キャンプ向きの星座でしょうか……。できることなら、この夏に裏庭で眺めたいのですが、暑さと湿度と天気の条件が揃えばの話ですが……。早く、すっきりした夏空を眺めてみたいものです。という訳で、小休止して、雲間の星を眺めてきます。

データ/ケンコースカイメモS・トキナー11~20ミリF2.8・EOSKissX8i・ISO1600・f5.6・40秒・ソフトフィルター使用・2021年4月19日10時20分頃

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