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2021年9月の5件の記事

2021年9月30日 (木)

CMOSカメラでファーストライト

Blog_20210930135901  一昨日、CMOSカメラで初めて夜空を撮影しました。テスト撮影のため外に出たところ、雲が少し出ていて、無理のような気もしましたが、木星が明るく輝いていたので、木星の撮影を試してみました。新しいノートPCを満充電して、機材を準備し、作業に取り掛かりました。それからが結構大変でした。先ず大変だったのは、最近のPCには、USBのAコネクターがひとつしか装備されていないんですね。そこで、USBハブを追加して、つなげてみました。PCを外で使おうとすると、少しは大きな容量のバッテリーが必要です。レンズのヒーター用にも使うし、CMOSカメラの電源、さらにPC用電源も必要です。設置している途中、暗い所でコードが絡み合って、準備するだけでもなかなか能率よくいきませんでした。

 左の写真が、ファーストライトの画像です。CMOSカメラは、ZWO社のASI183MCという、非冷却の初心者が使う低価格のものです。キャプチャーソフトは、ZWO社のASICapというソフトです。初めてなので、初期画面から難解ものでした。それよりも、使う予定のEOS 用の180ミリのマクロレンズを、木星に向けなければなりません。そのためにEOSのカメラボディを取り付けて、液晶画面で木星探しです。何とか探して、画面中央に固定しました。それから、EOSボディーをCMOSカメラと入れ替えて、PCに接続……ここからが撮影段階です。先ずは、ピント合わせです。これには、バーティノフマスクが使えて、何とか安心しました。ところがピント合わせですが、反応が遅いので、なかなかピンが決まりません。多分、USBハブを使ったので、速度が落ちてしまっているようでした。もう少し、何か工夫すべきかも、です。……とか、何とか独りでブツブツ言いながらも、撮影できました。

 写真が、やぎ座を移動している木星の画像です。赤道儀は、ビクセンの1軸AP赤道儀です。露出時間20秒、ゲインが240です。2分ほどの撮影時間でしたが、5コマ撮影されていました。この画像を見て、少々驚きでした。それは、CMOSカメラの感度の良さです。木星のガリレオ衛星の4個がクリヤーに、それも構図も良く写っているではありませんか……。それも、結構くっきりと……。180ミリのレンズですが、センサーサイズが小さいので、多分500ミリ程度の望遠になっているようです。画像は、2コマ合成しています。4個のガリレオ衛星の並びの向きが、太陽の方向になっているので、とてもリアルな感じです。

 という訳で、最初にしては、まあ上出来かも……と、ひとりで満足していますが、課題が増えるばかりです。今夜も天気が良さそうなので、午後の時間にブログを書いています。今夜晴れれば、セカンドライトです。まあ、天気の具合ですが……。これから、夕食の準備でーす。

データ/ビクセンAP・180ミリF3.5・ZWOASI183MC・20秒・ゲイン240・2021年9月28日21時

 

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2021年9月23日 (木)

はくちょう座の北アメリカ星雲とペリカン星雲

Blog_20210923190801  写真は、はくちょう座の散光星雲、北アメリカ星雲とペリカン星雲です。北アメリカ大陸とペリカンに似ているところから、愛称が付けられています。確かに、その呼び名の通り、とてもよく似ている感じです。最初に名前を付けた人は、エライというか……正解です。画面右上隅で輝いている明るい星が、はくちょう座の1等星デネブです。毎年撮影しているような記憶ですが、なかなか上手く撮れませんでした。撮影は、大気の状態が大きく影響します。ここ薩摩半島では春から秋までの半年間、水蒸気がとても多いので、夜空の状態はいつもイマイチのような気がします。しかし、今回は結構いい感じかな、というよりも、自分としては最高の画像かも、です。この夜は、結露が異常に多くて、撮影後の赤道儀や三脚は水滴でビチョビチョでした。結露がヒドイ時の方が大気の状態がいいんでしょうか、夏は?……よく分かりませんが……。

 ところで、この北アメリカ星雲は、散光星雲としては超大型です。星雲までの距離は2000光年程だそうですが、その距離を考慮すると、いかに巨大かが分かります。隣のペリカン星雲は北アメリカ星雲と繋がっていて、その手前に濃い星間ガスである暗黒星雲が広がっているようです。その暗黒星雲の広がり方が、どういう訳か左向きのペリカンの姿をつくっています。とてもユーモラスで、何故かほっとする光景です。今までは、このペリカンの口元がうまく撮れませんでしたが、今回はそれらしく見えています。ちなみに、北アメリカ星雲はNGC7000、ペリカン星雲はIC5067というカタログナンバーが付いています。

 夏は水蒸気が多くて、撮影や観望に苦労しています。この5,6年は、特に水蒸気が多くなったような気がします。この薩摩半島だけではなく、日本列島全体がジメジメになっているのかも……です。

 まあ、そんな訳で、少しは涼しくて、さわやかな秋(星空はすっかり秋になっていますが)の到来を待つことにします。

データ/ビクセンAP・ボーグ55FL・専用レデューサー・QBフィルター使用・EOS60D(改造)・ISO3200・90秒・20コマ合成・2021年8月27日21時

 

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2021年9月16日 (木)

わし座の暗黒星雲B142とB143

Blog_20210916192101  9月の中旬ですが、天の川はまだまだ天頂付近で、明るく輝いています。薩摩半島の西側では、西の空が最も暗くて、星見にはとても適しています。東の方向は、錦江湾周辺の街明かりが結構目立つので、空の暗さはイマイチです。という訳で、子午線を越えて、西側の東シナ海方向に傾きかけた星空を、最適としています。

 写真は、わし座の1等星アルタイルの近くにある暗黒星雲です。この撮影も、ちょうどアルタイルが子午線を越えて、西側に傾き始めた頃です。わし座は天の川の中にあるので、星々の海の中で輝いています。アルタイルの北西3,4度のところにある暗黒星雲です。上(北側)の方がB142、下(南側)がB143です。このBナンバーというのは、アメリカの天文学者バーナードがつくった天体カタログなので、Bナンバーになっているようです。ちなみに、バーナードカタログには、暗黒星雲などが、300個以上登録されています。暗黒星雲というのも、19世紀の頃には、星々の隙間から遠い暗黒の彼方が見える、といった意見が多かったようです。確かに、初めて眺めるとそんな感じもします、ですね……。何故か不思議で、隙間から遠くが見えているようにも見えます。その当時は、宇宙の覗き穴……なんていう人もいたそうです。しかし、それは星々がない隙間ではなく、星間ガスや塵があって、後ろの星の光を隠しているということが分かったようです。

 ところで、撮影の後、6倍の双眼鏡でこの周辺を眺めてみたのですが、この暗黒星雲は確認できませんでした。双眼鏡でも見えるらしいのですが、またの機会に覗いてみます。暗黒星雲で有名なオリオン座の馬頭星雲などは、何となくガスと塵の塊のように見えますが、このB142とB143などは、何も知識がなければ、やはり〈宇宙の覗き穴〉に見えてしまいます。そういう意味では、宇宙はとても不思議なもの……だったようです。今でも、不思議だらけ、ですが……。

 今夜は月が見えていて、快晴とは言いませんが、木星と土星も見えています。昨日も今日も雨と曇りの予報だったのですが、天気予報は全く当たらず、今日一日雨なしの晴れの天気でした。まあ、その内に雨も降るでしょうが……。

 という訳で、今夜はYEBISUビールを飲みながら、のんびり月でも眺めてみます。

データ/ケンコースカイメモS・ボーグFL55・EOS60D(改造)・ISO3200・20~30秒・トリミング・2021年9月9日21時50分

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2021年9月 9日 (木)

いて座の散光星雲 M8とM20

M8m20blog_20210909141101  先週UPした銀河中心部にも写っている、いて座の散光星雲M8とM20です。写真下方のM8は特別に大きな星雲で、満月の2倍ほどあります。星々の海の中ですが、明るいので肉眼でもとてもよく見えます。M8は、別名干潟星雲と呼ばれていて、人気の高いメシエ天体です。星見を始めた人が最初に眺めたり撮影したりする、特別に目立つ天体です。オリオン座のオリオン大星雲やアンドロメダ星雲のようなもので、肉眼でも見えることから、それをきっかけに、天体に興味を持つ人も多いと聞いています。干潟星雲と呼ばれる理由は、ちょうど海の中にできた島のような感じに見えること……そういうこと、らしいです。肉眼で見えるというのは、特別な存在です。神戸から鹿児島の片田舎に引っ越してきて、初めてアンドロメダ星雲を観たことがあります。その時の感動は、なかなか忘れることが出来ません。生の光を見ているという、リアルさと臨場感でしょうか……。

 一方、写真上方のM20の方は、とてもくっきりしていますが、やや小さく、迫力はイマイチです。散光星雲の赤っぽい光は、可視光線ではないので、肉眼では見えないようです。このM20の愛称の三裂星雲というのは、明らかに星雲自体が3分裂4分裂しているように見えるところからきています。確かにそんなイメージで、正解かも、ですね……。このいて座周辺は、散光星雲や散開星団、さらに球状星団があちこちにあり、双眼鏡で覗いても、とても楽しめる領域です。この写真でも、散開星団や球状星団がたくさん写っているはずです。

 この撮影には、EOS60Daを使いました。このEOS60Daというのは、天体写真用につくられたデジカメですが、もうすっかり昔の懐かしいデジカメになりました。それでも、結構写りが良くて、まだまだ使えるような感じがします。ただしノイズが多めかも、です。

 まあ、そんな感じで夏の星々を楽しんでいるのですが、夏の終わりを感じ始める今日この頃です。夜10時ごろには、さそり座が東シナ海に沈みかけています。夏の大三角も、子午線を越えて西空です。東の空には、ペガススの四辺形が空やや高く昇ってきました。夜空は、もう秋の星空になっているかも、です。いつものことですが、時の経つのは……何と速いことか……。

 今はまだ明るい夕方前ですが、今夜は晴れそうなので、のんびり星空を眺めてみます。という訳で、冷たい麦茶で小休止でーす。

データ/ビクセンSX2・ビクセンED80sf・EOS60Da・ISO3200・90秒・20コマ合成・2021年7月29日22時

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2021年9月 2日 (木)

天の川銀河の中心部

Blog_20210902184901  今年くっきりとした天の川を観たのは、例年よりも遅く、7月の最後の週でした。天候異変で、梅雨が1ヶ月早くやって来て、1ヶ月早く終わったのですが、水蒸気が多くて、晴れた星空を観ることがなかなか出来ませんでした。水蒸気が多いと、九州各地で大雨になって、被害が出てしまいます。それに比べたらとても小さなことですが、春から7月までの天候異変で、レンズ3本にカビが生えてしまいました。他にファインダー1本にも、カビ発生です。湿度が80%から90%の日が何週間も続いては、当然かも、でしょうか……。汗かきの人間には、早く冬が来て欲しい、というのが今の望みです。

 写真は、いて座の一部分で、天の川銀河の中心部付近です。密集した星々が写っていますが、確かに川のように見えます。この写真だけでも、おそらく10万個ほどは写っているのでは、と思いますが……(本当は100万個ほどかも)。写真右側中央あたりに、散光星雲M8が見えます。その北隣に、同じく散光星雲M20と球状星団M21が見えます。この周辺は、星の光がわずかに少ない(少ないというよりも、本当は星間ガスやチリが多いので、後ろの星の光が見えないだけですが……)ので、M8、M20、M21は、とてもくっきりとしていて、なかなか見ごたえがあります。写真左側には、球状星団M28、M22が見えます。M22はとても明るく、5等級なんでしょうか、肉眼でもはっきり確認できます。双眼鏡で眺めると、確かに〈星々の海〉のごとく、とても素敵な光景です。いつ眺めても、感動モノです。銀河のことを、英語では、Galaxy(ギャラクシー)というようですが、これまた余韻の残る言葉です。

 薩摩半島の片田舎では、確かに一年中天の川が見えます。夏と冬は南北に、秋は北の空高く東西に流れています。春は低い空を一周するように流れているので、地平線が見えるところでないと、天の川は見えないかも、です。まあ、そんな訳で、のんびり天の川を眺める旅もしたいのですが、まだまだそんな時期ではなさそうですね。

 という訳で、コーヒーブレイクでーす。外は、雨が降る前の、湿っぽい空気です。また梅雨空に戻ってしまう感じです、当分……。

データ/ビクセンGP2ガイドパック・100ミリF2.8・EOS60D(改造)・ISO1600・f4・40秒・2021年7月28日22時

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