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2023年8月の5件の記事

2023年8月31日 (木)

わし座の三つ星

Blog_20230831190201  8月も今日で終わりです。8月下旬から9月の上旬の、夜9時頃には、夏の大三角が天頂付近に昇り、いちばんの見頃を迎えます。天の川も天頂を横切るので、夏の星々が勢ぞろいします。南の低い空には、さそり座が西空に傾き始めますが、いて座、へびつかい座やへび座が賑やかに輝いています。

 夏の夜空でひときわ明るい星は、こと座の一等星ベガです。日本では、おりひめ星として、親しみのある星です。天の川を挟んで、向かい側に明るい星が見えます。わし座の一等星アルタイルです。彦星と呼んだ方が日本的かも、です。

 写真は、アルタイル付近です。ちょうど三つの星が、ほとんど直線状に並んでいる様子です。わし座は、結構大きな星座で、肉眼で見える星が8個ほどあります。しかし、飛んでいるワシの姿を想像するのは、とても難しい気がします。多くの天文書では、この三ツ星が体の背中部分で、南東(左下)方向に飛んでいる姿になっています。それは、この写真の右上方向に、尾を表すデネブという星があるからなんでしょうか。でも……そんな風には、どんなに想像しても無理な感じがします。

 星座線は結び方が自由なので、自分好みの結び方でいいような気がします。Pocket Sky Atlas の星座線では、ちょうどこの三つ星がワシの尾になっていて、天の川に沿って南西方向に飛ぶワシになっています。どちらかと言うと、こちらの方がちょっとだけそれらしく見えます。

 いろいろと調べた結果、元々わし座というのは小さな星座たっだと書かれていました。古代バビロニア時代から知られていた星座のようで、その当時の人々は、この三つ星をわし座として見ていたのかも知れません。アルタイルが胴体で、左右に見えるのが翼で、旋回しながら飛んでいる鷲の姿のような気もします。……まあ、いろいろを想像したり考えたりすることも、楽しいですね。

 きょうは満月なんですが、全く見えません。薩摩半島は、雨の夜です。台風が近づいているので、さらに下り坂です。という訳で、今夜は、DHCのビールにしま~す。

データ/ケンコースカイメモS・EM-1MarkⅢ・ズイコー40~150ミリF4・100ミリ・f5.6・ISO1600・40秒・ソフトフィルター使用・2023年8月11日20時50分

 

 

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2023年8月24日 (木)

いて座の散光星雲M8

M8blog_20230824140801  写真は、いて座の散光星雲M8です。撮影できたのは、たったの8コマだけでした。本当ならば、3、40分もあれば撮影は終わるところなんですが、実際には、この写真を撮るために、5時間ほどかかりました。

 というのも、最初の撮影は8月12日でしたが、夜7時過ぎから準備して、極軸合わせをしました。その頃には、空は晴れて、絶好の星日和かなと思ったのですが、あっという間に曇ってしまいました。まあ、そのうちに晴れるだろうと思って待機していたのですが、一向に晴れることもなく、結局夜9時半頃まで待っただけでした。この日は、一コマも撮れませんでした。

 そして、3日後の15日も、いつものように夜7時過ぎに機材を玄関先に出して、準備して、極軸合わせをしました。雲がありましたが、少なめなので、まあ何とかなるだろうと思って、待機です。ところが、その内、流れる雲の多いこと多いこと……。雲の隙間から、いて座を眺めながら、チャンスをうかがっていたのですが、ため息ばかりです。

 天の川は何とか見えたのですが、肝心のM8周辺は、なかなか見えてきません。双眼鏡で確認しながら、さらに待機です。双眼鏡でM8が見えたら、一コマ……さらに一コマ……。そんな感じで、あっという間に2時間以上経ってしまいました。9時過ぎには、雲だらけになっていました。おまけに散光星雲M8が子午線を越えて西側に移動してしまいました。赤道儀が子午線を越えると、ややこしいことが起こるので、撮影は中断です。

 そんな感じで撮影したのが、いて座の散光星雲M8です。たったの8コマですが、コンポジットして、何とか使える画像にしました。最近は、水蒸気が多くて、星を眺めるのも大変です。10年ほど前には、こんなことはなかったのですが、この5、6年は、双眼鏡で確認しながら撮影をしています。どう考えても、尋常ではありません。

 M8は、干潟星雲と呼ばれています。帯状の暗黒星雲が横切っていて、干潟に似ているところから付けられた名前です。なかなか見ごたえのある美しい眺めです。肉眼でも見えるとても貴重な散光星雲です。これからは、晴れる日も少なくなりそうで、星見もなかなか……というよりも、とても大変ですね。

 という訳で、昼下がりの今、遠くで雷が鳴っています。今日も、薩摩半島はムシムシ・ジメジメです。夕方から、また雨になるかも、です。

データ/ビクセンSX2・ES102ED・EOS60D(改造)・ISO3200・QBPフィルター使用・80秒・8コマ合成・2023年8月15日20時50分

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2023年8月17日 (木)

や座とCr399(コートハンガー)

Cr399-blog  写真は、はくちょう座とわし座の間にある、小さな星座や座です。弓矢の矢の形に似ている可愛い星座です。この周辺は、天の川が流れているので、星の数は尋常ではありません。この周辺には他にも、こぎつね座やいるか座、こうま座などの小さな星座があります。や座の東隣のいるか座は、4等星の星がいくつかあるので、肉眼でも何とか確認できます。このや座も、4等星の星が2つありますが、天の川に埋もれて、肉眼で確認するには、少々厳しい感じもします。

 や座は、トレミーの48星座のひとつです。全天で、3番目に小さな星座です。4個の星が、上手いこと矢の形になっています。矢の先に、もう一つ5等星らしき星も見えます。何千年も前には、この星もはっきり見えたのでしょうか……。この星まで星座線で結ぶと、さらに矢の形がはっきりしてきます。

 このや座の北側は、こぎつね座になっています。こぎつね座の中に、Cr399という星団があります。暗い星の集まりなので、ノートPCでは、見ずらいかも知れません。6個の星が一列に並び、中央に4個の星が四角形をつくっています。17世紀までは、散開星団だと思われていたのですが、その後の観測で、星々までの距離にばらつきがあって、散開星団ではなく、偶然に同じ方向に見えているだけだ、ということになったそうです。

 この10個の星が、逆立ちしていますが、ちょうどコートハンガーの形をつくっています。コリンダーカタログの399番に登録されています。コリンダーカタログというのは、1931年にスウェーデンの天文学者ペル・コリンダーがつくった天文カタログです。それ以来欧米では、コートハンガーと呼ばれて有名になったそうです。

 星座の名前や星座の境界線、恒星の固有名などは、国際天文学連合で正式に認められています。しかし、北斗七星や夏の大三角などの天文集合体などの名前は、公式には認められていません。愛称で呼び続けられてきた、非公式な天文集合体をアステリズムと呼ぶそうです。ペガススの四辺形や春の大曲線などど呼ばれるものも、親しみがあってとてもいい感じです。

 という訳で、昼下がりの今、薩摩半島は雨が降り出しました。ムシムシのジメジメです。お盆も過ぎたことだし、もう少し涼しくなって欲しいですね。

データ/ケンコースカイメモS・EM-1MarkⅢ・ズイコー40~150ミリ・ISO1600・80ミリ・f5.6・40秒・ソフトフィルター使用・2023年7月16日20時40分

 

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2023年8月10日 (木)

アペニン山脈からコペルニクスクレーター

Nblog_20230810125701  写真は、月齢9.6の月面です。撮影は、真冬の1月31日です。この日は、夕方から快晴で、撮影日和でした。シーイングも、5段階の5だった、と思います。今までの中では、最高にすっきりした画像になったという感じです……多分。本当はもう少しコマ数を増やせば、さらに拡大静止画像になったのかも知れません。

 アペニン山脈からコペルニクスクレーターに至る周辺は、月面の中では、いちばん絵になるような地形では、と思います。アペニン山脈は、月面でいちばん目立つ山脈で、大きなコペルニクスクレーターもあり、暗い海も延々と広がっています。この周辺は、今まで何回も撮影してきましたが、上手くいきませんでした。それというのも、シーイングの問題が大きいような気がします。

この薩摩半島は、冬でも異常に水蒸気の多い所で、PC画面の月面の地形が、ゆらゆらと揺れているのが普通なんですが、この夜は、静止画像のように、何故かぴたりと止まっていたようです。この日の撮影から、シュミカセ用の電動フォーカスコントローラーを使い始めました。ノブを手動で動かさない、電動モーターでの微動装置です。お陰で、ピント合わせがとても楽になりました。

 コペルニクスクレーターも少しは精細に撮れているのでは、溶岩台地の起伏もある程度写っているのでは、と思います……まあ私的な感想ですが……。画像の長辺が1000㎞ほどです。焦点距離で考えると、およそ1万ミリの超望遠です。もう少しアップ出来たらいいのですが……今のとこらは、これが限界です。シーイングが良い日に、また月面撮影に挑戦してみます。

 台風6号が通り過ぎて、やっと嵐が去りました。今日から、またジメジメ・ムシムシの天気です。8月に入って、すっきりした青空を一度も見ていません。お盆明けが新月なので、晴れたら天の川をじっくり眺めてみま~す。

データ/ビクセンSX2・セレストロンC8・ASI183MC・ゲイン130・14ms・200コマ静止画像を合成・2023年1月31日20時30分

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2023年8月 3日 (木)

たて座

Blog_20230803185101  写真は、天の川の中にある、小さな星座のたて座です。撮影した記憶がないので、初めてだと思います。北隣りにはわし座が、西隣りにはへび座(尾)があります。南には、とても大きないて座があって、その三つの星座の間の狭い所に、たて座はあります。トレミーの48星座には入っていません。17世紀に名前が付けられた、とても新しい星座です。ドイツの天文学者ヘベリウスが名付けたと言われていますが、詳しいことは知りません。

 たて座があるのは、天の川の流れの中の、結構賑やかな領域です。いて座付近が星が密集していて、特別に明るい所ですが、その周辺部にも明るい所がいくつかあります。その一つが、このたて座周辺です。写真中央やや上の明るい部分です。ここは、スモール・スター・クラウドと呼ばれています。ここには、M11のメシエ番号のついた散開星団があります。散開星団というよりも球状星団に近い感じで、星が密集しています。

 スモール・スター・クラウドの南西側に、少しだけ明るい星がいくつかあります。ここが、たて座の中心部です。肉眼で確認するのは難しいですが、写真で見ると、北からβ星、α星、γ星の三つの4等星らしき星が見えます。ε星、δ星もすぐ近くに見えます。6等星以上の明るい星はこの5個だけで、他にありません。

 たて座は、星座線で結んでも、なかなか絵にならないかも、です。ただ、たて座周辺の星々の海の眺めも、最高です。視野いっぱいに広がる星々に、恐ろしいほどの宇宙の神秘を感じてしまいます。

 真夏は、天の川が天頂付近に昇るので、星々の海を眺める最高の季節です。また、晴れた夜に、双眼鏡でノンビリじっくりと眺めてみます。

 という訳で、熱帯夜の今夜も、冷たいビールでしょう……ねえ。

データ/ケンコースカイメモS・タムロン45ミリF1.8・EOSKissX8i・ISO1600・f4・40秒・ソフトフィルター使用・2023年7月17日21時40分

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